株式会社 井上ピッグファーム 代表取締役 井上博幸
福岡県糸島市 母豚:520頭 取材日:2022年6月16日
①飼料と環境を整えるー早速ですが、どのような飼料を使われていますか? 特徴としては、安全な非遺伝子組み換え(Non-GMO)飼料を使用しています。主な飼料である「米」は、オレイン酸を増やす作用があり、調理中に出るアクを減少させます。アクが多いと臭みが出て料理の味に大きく影響しますよね。しかし、米を飼料として使うには一つ問題がありました。実は、豚は米を吸収することができないんです。 ーそうなんですか!?どうされたのでしょうか? 米を熱処理することで吸収率を上げました。熱処理のおかげで吸収率はほぼ100%になります。だからといって、たくさん食べさせたら良いというわけでもなく、米の割合が多すぎると肉色が薄くなってしまいます。もちろん見た目は重要で、買うときはきれいなピンク色を選びたくなりますよね。ちなみに、肉色が濃い場合は動物性たんぱく質の影響が考えられます。 ー動物性たんぱく質….. どういったものがあるのでしょうか? やはり成長させるためには動物性たんぱく質が必要で、飼料中には魚粉が入っています。臭みが出てしまうので使っていない養豚場も多いのですが、白身魚だと臭みがなく、肉質に良い影響を与えます。 ー飼料以外に気を使っていらっしゃることはありますか? 豚舎は常に綺麗に、豚が過ごしやすい環境をつくっています。例えば、温度管理として簡易パド(冷風扇)を使用し、内気は外へ、外気は水を通して中へ入れるようにしています。そのおかげで、豚舎内はある一定の温度を保つことができます。夏場は外にいるより豚舎内の方が涼しく、豚の食欲が落ちることはありません。 ②気づきを伝えるー井上さんのルーティンを教えてください! 朝は必ず2時間かけて農場内の見回りを行い、併せて分娩舎の餌やりをします。農場内を1周すると約3㎞程になります。小学生の頃から豚に餌をやってから学校へ行くのが習慣でした。学校から帰ってきても豚舎や直行してましたね。餌やりや糞取りが本当に楽しみだったんです。もちろん夕方も朝同様に見回りをして帰るようにしています。 ー2時間ですか!?どのようなことを意識されているのでしょうか? 豚の様子や豚舎内の環境を観察するのはもちろんですが、気づいたことは必ず従業員に伝えるようにしています。それを毎日繰り返すことで、従業員も予測がつくようになります。単なる作業ではなく、応用が利くようなると言うんですかね。安心して任せられる従業員がたくさんいます。 ③糸島の養豚を守るー今後の展望を教えてください! 42年前に現在の場所に農場を移転しました。現在、糸島市には養豚農家が7件あります。また、うちの農場には14名の従業員います。これらを守ることが私の役割だと思います。彼らを幸せにするために頑張っていきます。
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