合同会社ピッグス 代表 井戸栄造
熊本県天草市 母豚:300頭 取材日:2021年4月7日
世界文化遺産「天草の崎津集落」の隣町、天草市大江の『合同会社ピッグス』。代表を務める井戸栄造さんは18年前にサラリーマンを辞めて父が行っていた養豚業を継ぐために天草に帰ってきた。創業当初は子豚2頭から生産を始め、時代の流れと共に養豚経営の社会的信頼の確立及び社会貢献を加速するために法人化を行った。近年では、井戸さんが代表となり、地元の養豚業を営む仲間とグループを作り、大江地区の環境保全にも力を入れている。
①利益にコミット人には得意分野があるけど、私は豚を飼うことが得意ではないです。だから豚にこだわりはないし、良い豚を作ろうということには興味がありません。だけど商売をしている以上、1頭の豚をどう安く育てて、どれだけ高く売るかは考えています。 豚を飼うことはオリンピックではないので、金メダルを獲ってもお金にはなりません。だから豚を飼うことに一生懸命になってもしょうがないと思うようになりました。よく成績が重要視されますよね。田んぼでいうと反収とか、鶏でいうと飼料要求率とか、豚でいうと一母豚あたりの出荷頭数とか…私は全く興味がありません(笑)。もちろん私も若い頃は成績を気にしていたし、成績が上がれば儲かると思って頑張っていました。成績は数字で見ることができるので安心材料になります。しかし、成績が悪くても儲かっているところもあれば、成績が良くても儲かってないところもあるんです。いかにコストを抑えて、最大の利益を生み出すか。交渉力は超得意分野なので(笑)。前職での営業経験が活きているかもしれません。 ②体が資本私は毎朝、一人焼肉をします(笑)。7時には家を出るから6時半に朝食。時間がある日は味噌汁を出汁から作ります。特に意味はなく、食べたいから食べているんですけどね。 仕事は終わっていなくても16時半に切り上げて、誰よりも早く帰ります。もちろん従業員もですが、自分が一番に帰るようにしています。そして17時からお酒を飲む。これが日々の活力となっています。自分がだめになったら農場がやっていけないから、自分の体に力を入れるようにしています。 ③必要がないことはすぐやめる。 必要があることは続ける。養豚業を始めたきっかけは父が癌になったことです。熊本市内の一般企業に就職し、営業マンを10年くらいしたころでした。父が癌だとわかって「帰ってきてくれ」と言われたことがきっかけです。もともと就農するつもりはなくて、ちょうどサラリーマンにも飽き始めていたタイミングでした。就農して1年後に父が死んで、もうやるしかないと思いました。 どんな商売も同じですが、資金繰りのプレッシャーは半端なかったです。30代で最大2億の借金、銀行からも税理士さんからも心配されました(笑)。でも30代だったから全く怖くなかったし、あきらめようと思ったこともありません。あきらめても借金しか残らないので、とにかくがむしゃらでした。 会社を経営するにあたって、必要がないと思ったことはすぐに辞めます。逆に必要だと思ったことは続けます。その決断は早いかもしれません。
Witer_R.Tsujiwaki
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