有限会社ドリームファーム山本
熊本県阿蘇市 搾乳牛:90頭 養牛:親牛100頭 子牛100頭 取材日:2023年5月24日
はじめに
阿蘇の自然に囲まれた豊かな環境で牛を育てる山本牧場。その経営を支えるのは凄腕の酪農家、山本隼人さん。山本さんの働く牧場では、一頭当たりの搾乳量が平均を大きく超える驚異的な40㎏台を記録し、酪農業界でその名を轟かせています。話を伺ってみると、山本さんは気さくな人柄で、その中には牧場運営への熱い思いと、一貫したゆとりを持った運営スタイルが感じられます。この記事では山本さんの運営スタイルや取り組みについてご紹介します。
牛への優しさ
ー山本さんの牧場の特徴やこだわりは何ですか?
私たちの牧場で重視しているのは、牛への最適な環境作りですね。健康面で言うなら、「アソード」というA飼料を使って、病気や下痢の予防に最大限に配慮しております。色々な飼料や添加剤を試してきた中で、牛たちが元気になり、食いつきよく食べるのでアソードを選びました。環境面では、牛舎内の清潔さにもこだわっています。牧場付近は牛の生活臭が漂うものですが、私たちの牧場はほとんど臭いません。 ー確かに場所によっては嫌な臭いがする農家さんも多いですが、山本さんの牧場は全く臭いませんね。 アソードにも臭いを吸着する作用がありますが、それに加えて隅々まで行き届いた日々の清掃があってこそだと思っています。堆肥場に行ってもほとんど臭いがしないので来場される方々にいつも驚かれています。 「遊び心」を持つこと
ー山本さんの牧場は業績を伸ばしているとお聞きしましたが具体的な実績など教えていただけますか?
一般的に乳牛の搾乳量は30kg程度と言われますが、うちでは1頭あたり40kg以上の搾乳を行っています。追い込み(※1)たくても追い込めないというのが酪農家の現状ですが、ストレスを与えないよう牛たちへ細かなケアを行うことで追い込むレベルを上げています。 ※1 追い込む:牛の健康状態を維持しながら乳量を最大化させること ーそのような実績を上げるために必要な考え方や姿勢はなんでしょうか? 私が仕事において大切にしているのは、何より「遊び心」ですね。楽しみながらやれば、新しいことにもどんどん挑戦しやすくなるんですよ。この心構えこそが、私が常に新たな取り組みを始める原動力になっています。例えば、ウィンドレス牛舎の導入はその一つです。当時はまだあまり事例がなく、周囲から疑問の声を受けることもありましたが、「面白そうだ!これはうまくいく!」という気持ちで始めた結果、牛たちのストレスの軽減につながりました。 ー自分の「遊び心」をもって行動を起こしていくことが大事なのですね。 畜産業は大変な仕事だからこそその考え方が重要だと思います。だから、仕事以外でも趣味を楽しむ時間を設けるようにしています。それが、私の仕事への情熱を燃やし続け、新たな挑戦へと繋がっていくんです。 理想の経営とは
ー山本さんが理想とする畜産経営とはどのようなものですか?
理想的な畜産経営とは、何より「変化に対する恐怖を持たない」ことが大切だと私は思っています。今の畜産業は、社会の変化や技術の進歩により、その姿を常に変えています。かつては、「牛が好きだから」という理由だけで酪農を始めることができましたが、今はそうはいきません。そのような時代変化の中で私が最も大切にしているのは、「常に新しいことに挑戦する」という姿勢です。 自分自身が過去の概念に縛られることなく、新しい方法を取り入れて成功を収めてきた経験から言って、これが多くの畜産家にとって新たな指針になると確信しています。だからこそ、私の牧場ではこれからも新しいことにチャレンジし続けていくつもりです。 編集後記
山本さんの牧場では、牛に優しい環境づくりに努める一方で、仕事に「遊び心」をもって取り組む姿勢が印象的でした。また、「変化を恐れずに挑戦していく」その精神はすべての畜産農家で共通する考え方のように感じました。山本さんの牧場が持続可能な牛乳生産を実現しているのは、山本さんの独自の取り組みと強い信念があるからこそなのだと思いました。
アソード(リモナイト)
山本さんの牧場では「アソード」というA飼料を使用しています。牛の食いつきがよく病気になりにくいと効果を実感している、山本さんの愛用品なんだそうです。
ウィンドレス牛舎
ウィンドレス牛舎は舎内が暗いため牛たちにストレスを与えることなく元気に育つのだそうです。牛舎内は隅々まできれいに清掃されているため、ほとんど臭いがありませんでした。
趣味
山本さんの独自の発想、そして何事にも挑戦する姿勢を生み出すのは「趣味」のおかげとおっしゃっています。
音楽に車にバイクに、様々な趣味を楽しむことで大変な畜産の仕事を乗り越えています。
writer T.Shimomuro
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