株式会社昇成龍 豊永誠
熊本県 球磨郡 経産牛:180頭、育成牛:80頭、子牛:40頭 取材日:2024年1月10日
昇成龍の経営哲学
記者「豊永さんが経営において最も大事にしていることやこだわりについて教えてください。」
豊永さん「当然ですが、私たちの経営の柱は、売上の増加と無駄の削減です。特に、不必要なコストを抑えることに力を入れています。例えば、獣医に頼む治療費など、以前は無駄だと考えていました。自分でできることは自分で行うことで、コスト削減につながっています。」 記者「規模の拡大に伴い、経営方針に変化はありましたか?」 豊永さん「確かに、規模が大きくなると経営の方針も変わります。最初は私と妻の二人で、90頭の牛を育てるのが限界でしたが、従業員を雇うことで頭数を増やせるようになりました。増やす基準としては”今年度はいくら売り上げたので来年度は例えば2000万売り上げましょう、3000万売り上げましょうという売り上げの目標を立てて、それに見合った頭数を導入する”という形で売上を軸に計画を立てていきました。」 記者「従業員との関係や労働環境についてはどのように考えていますか?」 豊永さん「従業員は非常に大切です。彼らが牛の管理方法をしっかり学ぶことで、大きなトラブルは防げます。また、労働環境にも気を配っています。例えば、夏場は熱中症対策として、1時間に10分の休憩を取るようにしています。昼食は会社から提供し、コミュニケーションも大切にしています。」 記者「経営者として、全体を俯瞰する視点と従業員への信頼についてどう思われますか?」 豊永さん「経営者としては、全体を大まかに見ることが重要です。一方で、従業員一人ひとりの仕事を詳細に見るのではなく、彼らを信頼し、大事にすることが大切です。特に新人教育には力を入れており、段階的に責任を任せていきます。これにより、経営者としての視野を広げつつも、従業員一人ひとりの成長を促進しています。」 自給自足の精神
記者「豊永さんは資金面でのやりくりにどのようなテクニックを用いていますか?」
豊永さん「私たちの基本方針は、必要のないところにはお金をかけないことです。例えば、建物に関しては、屋根さえあれば十分。私自身が建屋の建設や電気水道の設置を手掛けています。これにより、トラブルがあった際にも、原因を素早く特定し、迅速に対応できます。また、子牛の販売収入を資材購入に充てることで、建物関係の借入はありません。自分でできることは、できる限り自分で行い、それ以外は専門家に頼むスタイルをとっています。」 記者「情報収集や活用に関してはどのように行っていますか?」 豊永さん「情報収集は、今のネット社会を活かしています。例えば、建設作業の方法はYouTubeなどで学んでいます。また、北海道の同級生と連絡を取り合って、畜産業界の現状や情勢を把握しています。これにより、牛の購入タイミングや飼料の価格変動を理解し活用しています。要は、情報を仕入れて、それを実務に役立てることが大切ですね。」 記者「経営におけるコスト管理や効率化のための具体的な取り組みはありますか?」 豊永さん「はい、例えば、餌の購入に関しては、価格変動を考慮し、最も経済的なタイミングで購入します。牛の仕入れも同様で、季節によって価格が異なるため、最もコストが下がる時期を狙って購入しています。一年を通して見ると、これらの取り組みにより、平均的にかなりのコスト削減が可能になっています。常に市場の動きを注視し、適切なタイミングでの購入を心掛けています。」 目標を追い越せ!
記者「豊永さんにとって師匠としている人物はいますか?」
豊永さん「師匠というよりは、目標としている人物がいますね。それは高塚牧場の中村さんや大坪上原牧場の上原さんなど、身近な成功している農家の方々です。彼らは私が小さな規模の時から注目してくれていました。彼らの経験談やアドバイスは、私にとって非常に大きな助けとなっています。特に、困難な時期を乗り越えた彼らの話は、私自身にも深く共感でき、大きな刺激になっています。」 記者「豊永さんが彼らから学んだことで、特に印象に残っているアドバイスはありますか?」 豊永さん「はい、彼らも厳しい時期を経験しているので、その話を聞くことができたのは本当に大きかったです。自分と似た境遇を持つ人からのアドバイスは、とても心に響きます。彼らの話を聞いて、”きつい時でも諦めずに続けること”の重要性を学びました。また、彼らの経験を通じて、自分がどう進むべきかの方向性を見つけることができました。」 記者「今後の豊永さんの農場の展望について教えてください。」 豊永さん「将来的には、私が目標としている人々を追い越すことが最大の目標です。現在は150頭の乳牛を育てていますが、2~3年後には200頭を超える規模を目指しています。また、牛だけでなく、土地や資産も増やしていきたいと考えています。大きな牛舎で管理しやすい数の牛を飼うことが理想です。そして、それぞれの小屋を従業員に任せる体制を作り上げ、より効率的な運営を目指します。」 インパクトドライバー
酪農の仕事になぜ?と思うかもしれませんが毎日3台は使うくらい豊永さんの必需品なのだそうです。
これがあればネジ締め、穴あけ何でもできるそうです。 誰よりもコスト意識を持ち、無駄をなくすべく工夫を凝らす豊永さんに相応しいアイテムです。
Writer_T.Shimomuro
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