村上牧場 村上義輝
熊本県 阿蘇市 親牛:9頭、子牛:6頭 取材日:2023年10月30日
地域共同体の核心
記者「「一期一会」という言葉が好きな理由は何ですか?」
村上さん「一期一会という言葉には、私たちの田舎の生活が凝縮されているんです。ここでは、隣人との関係が生活の根幹をなす。都会のように隣の部屋の人さえ知らない状況とは異なり、田舎では近所とのつながりが欠かせない。お互いに支え合い、共に生きていく必要がある。この精神は、若い世代にも受け継がれています。一期一会の精神は、私たちの生活哲学そのものなんです。」 記者「人と人とのコミュニケーションを大事にしていますか?」 村上さん「もちろんです。田舎では、人とのコミュニケーションが生活の中心を占めています。人との深い絆がなければ、ここでの生活は成り立ちません。都会でも大切ですが、田舎ではそれがさらに強調される。隣人との絆、共同体の力がなければ、生活は困難になる。私たちはこの地域共同体の精神を、心に刻んで生きています。」 記者「一区牧野組合の組合長を務める理由は、「一期一会」の精神が強いからですか?」 村上さん「実は、組合長は年功序列に基づいて決まります。私も長年組合に携わってきて、去年までは会計を担当していました。後輩にその役割を譲り、今年組合長の役割を受け継ぎました。私たちの組合では、経験と貢献に基づいて役割が回ってくるのです。だから、一期一会の精神も重要ですが、それだけが理由ではありません。」 記者「組合長は何年間で交代するのですか?」 村上さん「組合長の任期は特に決まっていないんです。組合員からの要望があれば、役職は交代されます。前任の組合長は8年間務めましたが、私は今年からその役割を担っています。この地域の伝統として、組合長は地域の声に耳を傾け、必要に応じて役割を次の人に渡すことが求められます。」 稲作と家畜の調和
記者「日々の業務内容について教えていただけますか?」
村上さん「当農場の業務は多岐にわたりますが、特に牧野の仕事が最も難しいですね。天候に左右されるため、作業の計画は天気予報に基づいて行います。また、収穫作業は極めて重要です。私たちの農場は牧場業だけに留まらず、稲作やハウス栽培も行っています。加えて、副業を持つメンバーもいるため、組合の7名が連携して、効率的に作業を進めます。主には下の仕事、つまり稲作やハウス栽培、家畜の飼育に注力しています。牧草や野草の収穫は、山へ登って行うことが多く、組合員が少ないため、非農家の方々のサポートも不可欠です。」 記者「牛の健康管理において、特に注意していることはありますか?」 村上さん「牛の健康管理においては、特に新生牛のケアに力を入れています。例えば、出産後の牛は、1週間以内に離乳する場合と3ヶ月母乳で育てる場合があります。冬場は放牧せず、母乳での育成も選択肢の一つです。夏場は放牧するため、離乳後は親牛を放牧でき、業務負担も軽減されます。特に、子牛は1ヶ月以内に病気になりやすいため、寒い時期には暖房設備を使用したり、子牛の居住環境を温める対策を取ります。下痢はよくある症状で、早期発見と治療が重要です。私たちは日々の健康チェックに力を注ぎ、1年に1回の出産を大切にしています。万が一の死亡は大きな損失となるため、細心の注意を払っています。」 時代とともに変わる牧場の姿
記者「 牛の健康と成長をサポートするために特別な方法はありますか?」
村上さん「牛の健康と成長をサポートするためには、ビタミン剤の活用が重要です。特に体の小さい牛に対しては、ビタミン剤を用いて体重増加を促します。市場には様々な種類のビタミン剤があるため、それぞれの牛のニーズに合わせて選択します。また、鉱塩を加えた水を提供し、食餌のサイクルを整えることも重要です。病気の早期発見と適切な栄養補給は、健康な牛の育成に不可欠です。」 記者「牧場で抱えている問題点は何ですか?」 村上さん「現在、最大の課題は若い人材の不足と高齢化です。後継者不足が深刻で、多くの若者が他の職業を選んでいます。大規模な経営では、長男や次男が経営を継ぐことがありますが、高齢化が進んでいるため、機械操作が困難になってきています。これにより、事故のリスクも高まっているのが現状です。」 記者「牛の飼育で特に困っていることはありますか?」 村上さん「牛の飼育において特に困難を感じることは少ないですが、寒い時期の管理は大変です。子牛は特に体温を維持する必要があり、大きな部屋に入れて暖房を使って部屋を温める必要があります。3ヶ月以内の子牛は病気になりやすいため、冬場の寒さ対策は非常に重要です。このような細かい気配りが、健康な牛の育成には欠かせません。」 鉱塩
牛を大きくするためには「水をたくさん飲ませること」が大事と話す村上さん。鉱塩を覚めさせると水分を欲して水分補給量が上がるそうです。村上さんの牛養いには欠かせない商品と話されていました。
Writer_Y.Eguchi
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