北里牧場 北里孝博
熊本県 阿蘇市 親牛:30頭、子牛:22頭 取材日:2023年12月18日
土と汗の中で育む命
記者「北里さんの牛の育て方の工夫やこだわりについて教えてください。」
北里さん「ええ、私たちの育て方には確かに特別な工夫があります。一番大事なのは、餌の与え方ですね。うちでは、子牛を親に付けていて母乳で育てるんですが、母乳の栄養は時間が経つとどんどんなくなっていくんですよね。ということは栄養の摂取は餌からになってきます。小さな頃からしっかりと餌を食べさせ、早期に栄養をたっぷりと摂取させます。これによって、牛たちは健康的に、そして迅速に成長します。早めに餌を与え始めれば乳離れも抵抗がないように感じています。」 記者「その餌を与えるタイミングや方法についてもう少し詳しく教えていただけますか?」 北里さん「親付けで飼育する農家では通常は3ヶ月くらい親に付けるのですが、うちでは生後70日程度で親から離し餌を与えます。その切り替えがうまくいくように生後20日くらいから昼だけ親から離したりして親離れの抵抗をなくしています。うちではこのやり方は牛たちの成長を加速させる秘訣の一つですね。また、天候や季節の変化に敏感になり早期発見することで、牛たちが健康を保つよう細心の注意を払っています。」 記者「では、北里さんの牧場に点数をつけるとしたら、どのように評価しますか?」 北里さん「正直に言えば50点くらいでしょうか。理由としては、牛たちが健康に成長しているという点で高評価です。しかし、育成の過程で常に完璧とは言えません。全ての牛が期待通りに成長するわけではないので、そこにはまだ改善の余地があります。オスとメスの牛それぞれに合わせた最適な飼育方法を模索しており、より良い結果を目指して努力を続けています。」 記者「さらなる改善のために現在取り組んでいることはありますか?」 北里さん「確かに改善のために色々と試行錯誤しています。最近では、さまざまな添加剤を使って牛の健康と成長を促進しています。ただし、添加剤の使用は慎重に行い、牛の健康にとって最適なものを選ぶよう心がけています。さらに、飼育方法の改善や環境の調整も継続しており、牛たちの成長をより良い方向に導くためには何が必要か、常に考えています。牛たちの成長を80%、90%向上させるためには、継続的な改善と試みが不可欠なのです。」" 試行錯誤の中の成長と発見
記者「牛の調子に関して困っていることはありますか?」
北里さん「そうですね、最近は発情の出にくさと受胎率の低下に頭を悩ませています。これにはいくつかの要因が考えられるんです。例えば、餌の与え方や気候の変化が影響している可能性があります。牛の健康状態や外部要因なども影響しているかもしれません。この問題を解決するために、牛の飼育環境を見直したりと、さまざまな試みをしています。」 記者「牧場を運営する上で、特に影響を受けたり、参考にしている人はいますか?」 北里さん「今はもう牛飼いを辞めた方なんですが中村さんという方がいます。彼は牛のことを非常によく理解していて、話し始めると止まらないほどです。彼からは多くを学びました。特に重要なのは、先行投資の大切さです。彼は新しい飼育方法や技術に積極的に投資してきました。その結果、牛の飼育技術が向上し、牧場の収益にも大きく貢献しています。彼の経験や知識は、私たち牧場経営にとって非常に貴重なものです。」 記者「北里さんが中村さんから学んで先行投資を行ったことなど教えてください。」 北里さん「特に重視しているのは、牛の健康管理です。例えば、様々なワクチンの投与を行って病気の予防をしたり、餌を変えて牛の調子の向上にもなりました。これらの投資は、牛の健康を維持し、生産性を向上させるために非常に重要です。中村さんの助言に従って、これらの分野に投資を行うことで、牧場の全体的なパフォーマンスが向上しました。」 「一日一歩」の力
記者「新規に牛の飼育を始める方々に向けて、何かメッセージはありますか?」
北里さん「牛の飼育を始める方には、まず牛や仕事が好きであることが重要だと思います。牛に対する情熱も大切ですが、毎日の作業にも熱意を持つことが成功の鍵です。毎日の仕事を続けることは容易ではありませんが、その中で感じる達成感や喜びを見つけることが重要です。牛に対する愛情と仕事に対する情熱があれば、困難を乗り越えていけるでしょう。」 記者「牛の飼育における楽しい部分はどのようなところですか?」 北里さん「牛の飼育においては、楽しいというよりも、感動と達成感が大きな要素です。例えば、牛が生まれたときの感動や、一日の作業が無事に終わったときの達成感は特別です。日々の作業を終えた後、家族と過ごす時間や風呂に入ってビールを飲むような日常の小さな幸せも、私にとっては大切な楽しみの一つです。このような日々の小さな喜びが、長い間仕事を続ける原動力になっています。」 記者「座右の銘や、牧場経営における哲学について教えてください。」 北里さん「私の座右の銘は「一日一歩」です。毎日少しずつでも前進することが大切だと思っています。若い頃は多くのことを同時に進められますが、年を重ねると無理はできなくなります。毎日コツコツと一歩ずつ進むことで、長期的な成功を築くことができると信じています。この座右の銘は、牛の飼育においても、そして日々の生活においても私の指針となっています。」 アソード
以前下痢に困っている際にアソードを使って下痢をしなくなったそうです。
引き続き与えることで牛の改善に努めたいと話していました。
Writer_Y.Eguchi
0 コメント
|