古河畜産
佐賀県唐津市 和牛:母牛70頭、F130頭、仔牛70頭 取材日:2023年6月14日
はじめに
牛たちが安心して生活し、その健康と発育を最大限に引き出すためには何が必要でしょうか。その答えは、単なる物理的な環境や飼料だけではありません。古河畜産の古河さんが提唱するところでは、それは「愛情」と「配慮」、「清潔な環境」と「効果的な飼料」それらを総合的に組み合わせたものです。これらの要素が牛たちの健康、そして結果的には畜産経営の成功につながると、古河さんは強く信じています。この記事では、古河さんが行っている愛情溢れる牛の育成法と、変動する環境要因に立ち向かう持続的な経営方法について紹介していきます。
愛情溢れる牛の育成法
ー牛を育てる上で古河さんが特にこだわっていることを教えていただけますか?
私たちの畜舎では、愛情と配慮が何よりも重要だと考えています。まず最初に考えるべきは、牛たちが過ごす場所、つまり畜舎の清潔さです。人間が心地よく寝れるほど清潔な環境を保つことを心がけています。それにより、牛たちはストレスフリーな状態で過ごすことができるのです。 また、食事に対しても配慮は欠かせません。私たちは「アソード」というA飼料を使用し、健康維持や成長促進に繋げています。アソードを使い始めてから、牛たちの毛並みのツヤが出始め、風邪や病気に対する抵抗力も上がりましたね。 愛情と礼儀を大切にしたコミュニケーション
ー古河畜産の運営において大切にしている考え方を教えていただけますか?
私たちの畜舎では挨拶や礼儀を非常に大切にしています。コミュニケーションは社員やアルバイトスタッフとの関係性に大きな役割を果たします。私たちは全員が大切なチームの一員だと考えていますし、それぞれに愛情を持って接しています。日々の業務においても、丁寧な指導や声かけを行い、全員が働きやすい環境を整えるように努めています。 また、掃除についても同様です。打ち合わせなどで来客があった際に応接室が汚いと心象が悪いじゃないですか?また来たいと思ってもらうことはお互いにとってメリットがあると思うので掃除についてもくどいように言っています。 こうした日々の取り組みが人とのコミュニケーションを円滑にし、全体の雰囲気をよくすると信じています。そして意図的に経営や時間、人にも「ゆとり」を生み出しています。そのゆとりは牛たちにも伝わると思うんです。 変動要因に立ち向かう
ー持続的な経営をするためにどのような戦略を立てていますか?
まず、経営計画を立てることがとても重要です。しかし、現実は常に変動要因に満ちていますね。 それが気温だったり、牛の健康状態だったり、社会情勢だったり。それらに対応するために、経営計画は柔軟に変更していかなければならないと考えています。 就農したばかりの時期の話ですが、経営を安定させるために外部採卵事業を立ち上げました。さらに、ICT(※1)機器を使って牛の状態管理を行い、仔牛の体調変化の見逃し問題を解決してきました。 ー常に変化する問題に立ち向かい続けることは相当な情熱がないとできないことだと思いますが、古河さんにとって畜産業とはなんですか? 食事も掃除もコミュニケーションもそこから生まれる「ゆとり」も。何事も牛を中心に考えたものです。畜産業は「牛を子どものように育てる」気持ちがあるからこそできる仕事だなと思います。 ーありがとうございました。 (※1)情報処理および通信技術の総称を指す用語のこと 編集後記
古河さんの取り組みを見ていると、その一貫性と情熱を深く感じられました。「牛を子どものように育てる」この言葉は古河さんの経営哲学の核心であり、牛たちへの愛情を表現したものです。畜舎の清潔さ、高品質な飼料の使用、そして社員やアルバイトスタッフとのコミュニケーション。それぞれが深い愛情を示しています。逆境にも屈せず情熱を持って取り組む古河さんの姿勢は、私たちにとっても大きな学びを与えてくれます。愛情と尊重をもとにした古河さんの経営哲学は、畜産業を営む方々に響く大切なメッセージだと思いました。
こだわりのアイテム
JAY・LORミキサー
JAY・LORミキサーを使うことで調理から給餌までにかかる時間が短縮できるのだそうです。牛が食べやすい大きさで均一に飼料をカットできるところがこだわりです。
Writer_T.Shimomuro
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