山口牧場
熊本県 阿蘇市 和牛:50頭、仔牛10頭 取材日:2023年7月31日
はじめに
畜産業は、私たちの食生活を支える重要な産業です。しかし、その裏側で働く畜産農家の方々がどのような思いで、どのような工夫をして畜産物を生産しているのか、私たちはあまり知りません。そこで今回は、「健康な牛作りを!」という志のもと畜産を営まれる山口さんの真剣な取り組みと、その中での愛情深い子牛へのケアについて紹介していきます。
伝統を継ぎ、未来を創る
ーー就農のきっかけは何でしたか?
畜産業への道は、家族の伝統を継ぐことから始まりました。長年にわたり、この地域で畜産業を営んできた家族の事業を継承し、さらに発展させることを目指しています。やりがいを感じる瞬間は、質の高い畜産物を生産し、それを提供できたときですかね。血統や飼料の管理を行い、品質向上に取り組んでいます。 環境に優しく、持続可能な畜産業
ーー畜産業の持続可能性に関して、特に意識している点は何ですか?
畜産業は、大量の資源を消費し、大量の廃棄物を生み出す可能性があります。そのため、資源の有効利用と廃棄物の削減に取り組むことで、環境に配慮した畜産業を目指しています。一番の自慢は、品質の高い畜産物を提供できることです。品種改良や交配を通じて、品質の高い畜産物を生産することを心掛けています。 ーー農家さんの中では血統にこだわりを持っていらっしゃる方が多いように感じますが山口さんはどのように考えられていますか? 血統は確かに大切ですが、それだけでは十分ではありません。私は、健康で丈夫な個体を増やすことも重視しています。良い血統だけでは、肉質が必ずしも保証されるわけではないのです。適切な飼育環境、栄養バランスの取れた飼料、個体ごとの健康管理など、全体の成長プロセスに焦点を当てることで、最終的な製品の質を高める努力をしています。 子牛への愛情深いケアと信頼関係の構築
ーー子牛の行動観察と独自のケアの仕方について教えてください。
うちでは子牛は生まれてから4~5日程度で離乳する「早期離乳」を心がけています。早期離乳は母牛の分娩後の発情回帰が早まり、「一年一産」ができるようになります。この「早期離乳」を行うためには哺乳容器でミルクを与える方が離乳のタイミングがつかみやすいですね。また、子牛の行動観察にも力を入れています。子牛のコミュニケーション行動を理解し、ストレスの要因を特定することで、子牛の健康と成長を促進しています。子牛には手でのスキンシップを行い、名前を呼びかけることで、信頼関係が生まれ絆を深めることができるのです。 編集後記
今回の取材を通じて、畜産農家の方々がどれだけ真剣に、そして愛情を持って仕事に取り組んでいるかを改めて感じることができました。「健康な牛づくりを!」という言葉から山口さんの牛たちに対するこだわりが伝わってきました。畜産業は、私たちの生活を支えるために欠かせない存在です。その中で、一頭一頭の牛に対する愛情深いケアと、持続可能な畜産業への取り組みが、質の高い畜産物を生み出す原動力となっていることを実感できました。
こだわりのアイテム
自家牧草
飼料価格が上がっている中、コストカットができる自家牧草は貴重な資源なのだそうです。牛も喜んで食べており山口さんの愛情が牛に伝わっているように思いました。
Writer_T.Shimomuro
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